「葵は両親の言うこと何でも受け入れてるよね。でも、あたしは結婚相手なんて親が決めるものじゃないと思う。付き合うからって結婚するわけじゃないんだから、恋だってしてもいいんだよ!!」



蛍…。


「あたしは葵に決められた相手と結婚なんてしてほしくない。大好きな人と、幸せな結婚をしてほしいんだよ。一生に一度の人生なんだから!」


そう言うと、蛍は優しく微笑んだ。


蛍の言い分もわかるし、私の幸せを願ってくれるのは嬉しい。




でも…私は恋愛に興味がない。


それに、好きとか正直全然分からないし…。



私の考えていることが分かったのか、蛍が諭すように言った。


「大和くんは恋愛を教えてくれるって言ったんでしょ? だったら甘えてみたっていいんじゃない?」


「……」


「あたしは大和くんと葵お似合いだと思うよ! 二人が付き合ってくれたらダブルデートもできるしねっ」


「ダブルデート?」


「あー言いそびれたんだけど、あたし大輔と付き合うことになった♪」



そうなの!?


私の話なんてどーでもいいから早く教えてほしかったわよ…。




「おめでと!」


「ありがと♪だから葵も早く大和くんと────」



その時教室の扉がガラッと開き、教室が静まり返った。