そんな2人を現実に導いたのは、カリンだった。


 「ハァハァ…」

カリンは座り込み、肩を使って息をしている。


そんなカリンの前で、水晶の破片が砂のように風に載って飛んで行ったのだった…



カリンの荒い息づかいに、現実へと導かれたルイは、座り込んだカリンの前に膝をつく。


そして、優しく名前を呼ぶ。


 「…カリン?」


 「…ルイ…」

その声に答えるように、カリンは伏せていた顔をルイに向けた。


その時、ルイは気づいた。
カリンのその綺麗な瞳に、涙がにじんでいる事に…


胸が苦しかった…
何もしてやれない自分が悔しくて…


 「カリン…」 ギュッ

ルイはカリンを頭に手を回し、胸に引き寄せ、囁くように言った。


 「…我慢する事はない…泣いていいんだよカリン。」

 「…うっ…うぅ…」

そんな優しい言葉に、耐えられなくなったカリンの瞳からは、途絶える事のない大粒の涙が流れた…




(俺は邪魔みたいやな…)

そんな2人を遠くから見ていたイワンは、その場から静かに立ち去ったのだった。