確かに胸へと撃ったはずだった…
しかし、ルイもケガを負い、意識もヤバい状況…
標的がずれてしまったのだ…
胸ではなく、腕辺りを負傷したノワール…
「…うっ…バカ、な…私が…貴様、何をした!」
傷を見て、同様するノワール…
緑色の瞳でルイを睨む…
その瞳をルイも睨み返す…
失いかけた意識をしっかり保ち、言う。
「自分の力を使っただけだ!」
「…自分の、力、だと?」
「お前に貰った力じゃねぇ!仲間に貰った力だ!お前にはない力だ!」
「!そんな力で…うっ…」
ノワールは腹部に刺さった剣を自ら抜くと、苦しい顔をし、一旦退くことにした…
「逃げるな!クソッ」
ノワールの姿が消える。
逃がすまいと、ルイは立ち向かうが、遅かった。
もうそこには、ノワールの姿は、ない…
あるものは、ノワールの流した、赤い、血の痕のみ…
ルイは消えた姿を見つめ、そしてその目をカリンへと向けた。
倒れるカリン。見た目では、傷を負ってはいないが…
「…カリン?」
カリンの体を抱え、声をかける。
しかし目を覚ます気配はない…
暗闇の中にいたカリンは、意識を失いながらも、ルイの戦いを見つめていた。
『…ノワールが負けるだと…』
カリンの分身のような彼女は、一瞬、力を抜いてしまった…
「!」
スルッ!
その隙で、カリンを締め付けていた物が、弛んだ。
それと同時に彼女から逃げるカリン。
『!クソッ逃げやがって…』
それを見つめる彼女は、追う事もなく、そこから消えたのだった…