ある一室にて…

椅子に座り、黒い弓を手入れするマイがいた。

集中している為、カリンは話しかけようとはせず、ベッドに腰掛け、静かにその様子を見ている。

不意に、目にかかった髪を手で払った時だった。

(…!?何これ…アザ?)

右の手の平にうっすらと、黒く円がかかれたように、アザができていたのだ…

(何かにぶつけたっけ…)

 「?どうしたの?カリン。」

ふと、マイは振り返り、カリンに訊いた。
が、

 「?ううん…何でも…」

カリンはそう言い、手を後ろに隠したのだった…

 「そう?」

マイも、特に気にした様子では無く、再び手入れに集中した…


 (ただのアザだよね…)

その時は、そんな風に簡単にかたずけたのだった。