話し出す男。
3人を見つめて言う。

 「カリンは、俺達の…この町の、子だからだ。」

 「この町の!?」

その言葉に驚いた様子のマイ。

 「そうだ。ここがカリンの故郷だ。」

思いもしない男の言葉。


記憶を失ったカリンの故郷であるこの町。
無事にここ帰る事ができたカリン。


嬉しいような、嬉しくないような、そんな微妙な気持ちが3人の心に漂う。


少しして、顔を伏せていたイワンが口を開いた。

 「…そや、ここに戻ってきたんやし、思い出すんちゃうか?」

 「そうよ。カリン、良かった…」

その言葉にマイはカリンに顔を向け、呟いた。

しかし、ルイだけは違った。

 「だが…そんなに簡単に、戻るかどうか…」

いつもは冷静で、動揺1つ見せないルイが、顔を伏せて言う。

 「マイナスに考えんなよ。」

 「そうよルイ。貴方らしくない。」

そんなルイを励ますように、2人は笑顔を作って言ったのだった。