そんな中、
町を走り続けていたマイは足を止め、ゆっくりと歩いていた。
「う…うぅ…わかってた…でも…」
未だに涙は止まっておらず、涙を拭っても拭っても後から出てくる。
ザッ
「…?」
そんなマイの前に、何者かが現れた。
深く帽子をかぶった、コートを着た男。
「何か、あったのかね?」
「…」
不振に思うマイ。だが、思考が停止していた。
「何だったら、私がお相手しましょうか?」
「いい…です…」
男は紳士的に言う。
それに答える為、無理矢理声を出すマイ。
「そうですか…それは残念…しかし、そういう訳にはいかないのでね。」
男はそう言うと、コートに隠れた腕が現れ、マイの腹を殴った。
「!!…」 バタ
思考が停止していたマイは何もできず、敵の攻撃をそのまま受けた。
そのまま倒れるマイ。
一瞬、帽子に隠れた男の顔が露わになった。
が、マイはその顔を見る事無く、意識を失った…
「すみませんね。」
帽子を整えながら男は言う。
すると男はマイの腕を掴み、引きずってどこかへ連れて行った…
暗闇の中を、何かを引きずる音が響きわたる…