グサ!!

確かに、剣には何かを貫いた感覚があった。

だが王には痛みを感じなかった。


 「!…」

王とルイの間に何者かがいる…


そうそれはミミだった…

王の身代わりに、ミミが剣の獲物となっていたのだ…

数秒の静寂が、3人を包む…



夜空では、終わりを察知したのか、輝く満月が雲の隙間から顔を出す…

その光で、3人の姿が照らされる…



 「うっ…」

ミミはおそらく立っていられない状況だろう…

だがミミはそれでも王を守ろうとしている…

王の前に立ちはだかり、ルイを睨む…
揺れる瞳で…


 「ミミ…止めろ…」

王はそんなミミに言った

だが、ミミはそこから動こうとしない…

そして首を横に振った…


 「ミミは止めません…。王…逃げて下さい…。」 バタ


そう言ってミミは灰となった…
最後まで王を守り…


逃げろ…それが、ミミの最後の言葉だった…


その一部始終を、ルイは見つめていた。
少し罪悪感を感じながら…

(…ダメだ…俺は悪の者を倒す為に生きる…そうだろ…?)

そう心の中で囁いたのだった。

自分自身に言い聞かせるように…


王は悲しそうな目をし、窓辺に立った。

月明かりに照らされた、彼の表情は見えない…

だが、泣いているように…

悔やんでいるように…

見えた…



 「…お前は必ず私が…」

そう言い、王は背中から落ちていった…

闇へと姿を眩ませた…


全てを失った王は、ルイから逃げたのだった…

ミミの願いを聞くように…

最後の、願いを…


 「…ハァ」

それを見たルイはため息を吐いた。


暗闇の部屋が、月明かりに照らされ、光が満ちた…


輝く部屋の中、青い瞳を持つ青年が、姿をあらわしたまん丸な月を見上げるのだった…