食べる度に蝕むんでいってしまうんだ。
「しらねえだろうな」
聞こえるはずはないのに、俺は豊海に向かって囁いた。
もちろん起きる気配もない。
「俺がお前を殺すかも知れないことに、喜びだって感じてるって事」
お前が致死量に達して死ぬのと、俺が限界値に達してお前を殺すのと、どっちが先だろうな。
それもまた、付き合っていく上での楽しさになっているなんて。
お前は、知らなくていいけどな。
「おい、帰るぞ」
そのままばしっと豊海の頭を叩くと、豊海がガバア! と勢いよく起き上がった。
今ここが何処なのか小さくて皺のない脳みそで一生懸命頑張っているんだろう。
「ここ、どこ!?」
「保健室。お前また倒れた」
ぽいっと、昭平から受け取っていた豊海の鞄をベッドに放り投げると、豊海は慌ただしく起き上がって俺の後に付いてくる。
「また午後の授業……出席日数が……」
やっと冷静に考え始めたのか、また授業を休む羽目になったことに落ち込み始める豊海に、相変わらずだと苦笑する以外にない。
ほんっと、憎らしいくらいにお前は、お前だな。
「お前は、俺のことなんか考えるな」
「は?」
隣を歩く豊海に呟くと、当然意味の分からない豊海が首を傾げて俺を見上げる。