だからお前は、知らないんだよ。



俺がどんなにお前を殺そうかとおもっているか、なんて。



このままいっそセックスでもすればお前は死ぬだろう。わかんねーけど。

だけどそれもそれでいいな、なんて本気で思っている自分が居る。相当危ない男だな俺も。

そうした方がお前は俺のモノになる。

他の男に頬を赤らめることもないし、他の男に何かのきっかけで触れられることもない。

俺以外の男のことで気分悪くなるはずもない。俺だけのせいで、死んでくれた方がいっそ楽なんじゃないかと思うくらい。


そのくらい俺はお前が好きだって事。


お前は知らないだろうな。

そっと豊海の頬に触れると、豊海は小さく「う、ん……?」と声を出した。


このまま傍にいたら、遅かれ早かれその道に手を出すだろう。それが故意かどうかはわからないけど……だけど今そう思う気持ちがあるだけで、多少は故意になるだろう。


その一歩を踏みとどまって傍にいる理由がなんなのかと思ったら。


それはお前を見ている時間だろう。


俺を見て一喜一憂して、俺のせいで死にかける豊海を見るのが俺はきっとスキなんだ。


豊海が俺をチョコレートのように思うように。
俺にとって豊海もチョコレートだ。


お前にとってチョコレートは甘美な毒であるように。
俺にとってのチョコレートは、モルヒネ。