「とりあえず、今日は泊まっていくようにご両親にもお話ししたから、ゆっくり休んで?

ちょっとアレルギー症状がきつかったみたいね。ゆっくり休んだからちょっとはマシになるから」


そんなの治らないよ。
この気持ちがなくならない限り。


蓄積されていくんだよ。
体の中に溜まっていく毒。

その毒が致死量に達したらきっと私は死んじゃうんだ。


恋で死ねるなんてロマンチックじゃないかと、きっと誰かは言ってくれるだろうけどそんなの全然嬉しくない。


「……洗面器、ありますか?」

「え?」


驚く気持ちは分かるけど。
だけど多分このまま寝たって寝ながら吐くだろうことは分かってる。

自分の体のことですから。
吐いたってろくに食べてないし吐きっぱなしだし出てくるもの何かないけど。

もしかしたら好きの気持ちもちょっとは排出されるかも知れない。


ベットに私を横に寝かせた看護師さんを見上げて告げると、看護師さんは「ちょっと待っててね」とピンクの洗面器をどこからか持って来た。

それを抱きかかえて、口元に当てるようにして目を瞑った。


きっと目覚めたらすごいことになっているだろうな。

きっと今日の夢は、高城と笑いあってる。今日くらいはそんな夢を見れたらいい。今日は高城のことを忘れられそうにはないから、せめて見るならそんな夢の方がいい。