高城が好きだから。
知れば知るほど好きになるから。

優しい所も、ちょっとぶっきらぼうなところも、意地悪に微笑む顔も。


「高城だって私とこのまま付き合っても、何も変わらないよ。そんなの……意味ないでしょ?」


辛いって言って欲しい。
そうだなって。
お前なんかと一緒にいたくないって。


「それは俺が決めることだろ?何でお前が決めるわけ?

俺が、お前と付きあうって言ってるだろ」


高城の言葉にぎゅっと拳を強く握った。
こんな夢みたいなことってあるんだなあ。

告白して、高城はきっとなんとなくで言っただろうけれど「じゃあ付き合う?」って言われたときも思った。


ああ、嬉しいなあ。
ああ、幸せだなあ。

ああ、死にたくないなあ。


……私死にたくないんだよ。
しかもこんな気持ちのままで。

幸せな気持ちがない訳じゃない。だけど今私の心を占めるのはそれ以上のもの。


だから、嫌なんだよ。誰のためでもない。高城が辛いでしょうなんて、そんなの口先だけのきれい事。高城のせいにしたいだけ。


「私が、嫌なの」


目を見ることなく、布団を力一杯、そのまま手に指が食い込んでしまうんじゃないかと思う程握りしめて口にした。