突然、名前を呼ばれて肩がビクッと跳ねた。
そして、その声の方へとゆっくりと振り向いた。
「…直哉」
「久しぶり」
直哉だった。
…そうか、同じクラスだったから直哉もお別れ会、出れなかったんだ…
「久しぶりすぎて、何話したらいいかわからないんだ」
「……私もだよ。変だよね。幼なじみなのに」
「幼なじみ…か…」
「何よ?」
直哉がフッと笑ったから、私は首を傾げた。
「なぁ真奈…お前にとって俺は、幼なじみでしかなかったのかな?」
「え…?」
直哉は笑いもせずにそう言うと、私の手を取って、何かをその手に置いた。
「…じゃ」
「………」
去っていく直哉を見つめた。
『お前にとって俺は、幼なじみでしかなかったのかな』ーー
どういう…こと…?
「っ…あ!」
ぼーっとしていた私は、直哉が私に渡した物を慌てて見た。