「…な…真奈!!」
私は、アスカに浴衣の袖を引っ張られ、ハッとして目を開けた。
「何してんの!?」
「…寝てた」
「ハァ?」
「あは!嘘!」
私はアスカに微笑んだ。
「それより、いいの?真奈。行っちゃうよあの二人!!」
アスカは険しい顔で、私の浴衣をギュッと握りしめた。
「……うん…いいの…」
「…真奈」
想像では何だって言える。
泣けるし、エリカを気にしなくても済む。
どうしたいの?
言ってごらんよ。
心のどこかでそんな声がする。
“直哉の隣がいい”
ほんとはね、言いたいよ。
そうやって。
だけど、目の前の真実は残酷だよ。
…臆病だから、実際は何にもできないの。
だから。
「もう、いいの」
もう…
いいの。