「何よ」
『今日』
「今日?」
今日何かあったかしらと、私はうーんと首を傾げた。
『夏祭りだよー!!』
「お祭り?」
『そ!いつも真奈、直哉君と行っちゃうから、もしかしてダメかもって思ってダメもとで誘ってんの』
そうか。
もうそんな季節なんだ。
毎年、直哉と行ってる夏祭り。
お祭りの最後に上がる花火を二人で見るのが私は好きなんだ。
今年も直哉と行くつもりでいたけど……
約束も何もしてないや。
『真奈ー?』
「あ…ごめんごめん」
『で?今年もダメ?』
アスカが諦めたような声で言う。
「…ううん。今年は約束してないから大丈夫だよ」
『まじ!?じゃあ急だけど一緒に行こう!』
「うん」
『浴衣だからね!!夕方6時に神社集合で!!』
「了解」
じゃあねと嬉しそうに電話を切ったアスカ。
だけど、私は耳に受話器を当てたまま
しばらくそこに立っていた。