「直哉ぁー!!」
たくさん走って、直哉を見つけたのは天文台へと続く階段。
しかもかなり急な坂。
みんなはこれを嫌がるのだ。
実際、たくさん走った私もこれはキツい。
「なんだ、真奈、来たんだ」
直哉はちょっと先にいて、振り向いてケロリとした顔で言う。
「ハァ…ッ…きたんだって…あんたねぇ…ハァ…」
私と同じ道を同じように走ってきたはずなのに息切れ一つしていないこいつに腹が立つ。
「待ってなさいよ!そこで!一発ぶっ叩いてやるんだから!」
私は直哉にビシッと指差して一歩階段を踏み出した…のだけれどーー
「ッ…!!いった…」
右の足に嫌な痛みが走った。
ローファーを脱いで恐る恐るソックスを脱ぐ。
「うわー…最悪…」
見ると、ローファーで走ったせいで靴擦れを起こして一部皮が剥けていた。
赤く血がにじんでいる。
「もう…」
どうしよう。
絆創膏も持ってないし。
歩いて帰るには痛いし……
そのとき。