家に帰ると、お母さんが誰かと電話をしていた。
「ただいま」
電話をしているお母さんの横を通りながら、とりあえずただいまを言った。
「あ!真奈帰ってきたわ!代わるわね!ちょっと真奈!」
通り過ぎようとする私の服をギュッと掴むお母さん。
「誰よ…」
めんどくさいなぁと呟きながら、お母さんが差し出した受話器を受け取った。
「…もしもし」
『あ!もしもし!!真奈?』
「あ……アスカ?」
めんどくさいと思って受け取った受話器から聞こえてきたのは、同じクラスであり同じ天文学部でもあるアスカの声だった。
『最近部活こないから心配してたんだよー』
「ごめんごめん。つか、ケータイにかけてきてくれればよかったのに」
『ケータイかけたけど出なかったから、家電かけてんの』
私はアスカにバーカと言われ、ポケットからケータイを取り出した。
ケータイを開くと、確かにアスカからの着信があった。
「わ、5件も。しかも1分おきに」
『急用だったから!』
「えー?急用?」
私はクスクスと笑った。
アスカの急用なんて珍しいから。