「ハァハァ…」
私は、足を止めて残りのアイスを食べた。
「…あ…あたりだ」
皮肉にも、アイスの棒にはあたりと書かれていて
何でこんなときにあたりが出るんだろうか。
全然嬉しくなかった。
「っ…」
私は今来た道を振り返った。
その先には、並んでアイスを食べているエリカと直哉がいた。
何であの直哉の隣にいるのが私じゃないんだろう。
何でさっき、断ってしまったんだろう。
なんで私は
素直になれなかったんだろう。
「…っ……」
ダメだよ。
泣いちゃダメだよ。
泣かないで。
自分に必死に言い聞かせた。
私はくるりと前を向き、あたりのアイスの棒をたたき付けるようにそこへ捨てた。
そして、その場から逃げるように走った。
泣いちゃダメ。
そう言い聞かせて。