私はしばらく、直哉の背中を見送っていたけど
むなしすぎて、惨めすぎて。
自転車から降りて目的地へと
とぼとぼと歩き出した。
自転車がいつもより重く感じる。
ザァーンと波が揺れる音がして顔を上げた。
私が来たかった場所、海だ。
ここにくれば何となく、気持ちが晴れる気がして…
道の脇に自転車を止めて、砂浜へと足を踏み入れた。
こんな晴れた日なのに、誰もいないのは珍しい。
私は水に濡れない程度の場所まできて、そこに腰を下ろした。
ついでに鞄も横にさっぽ投げる。
海の写真を撮りたくて、ポケットに入れたケータイを取り出して開いた。
“新着メール1件”
と画面には出ていて、私はお母さんにずる休みしたことがバレてそのメールかな?なんてビクビクしながらメールを開いた。
けれど、それはお母さんでなくて
『手紙渡してくれてありがとう(>_<)昨日、直哉君と星を見に行ったよ!すごく綺麗だった!本当にありがとう(^^)』
エリカだった。