翌朝、私はできるだけゆっくりと自転車をこいで学校へ向かった。
いつも通りに行くと、直哉に会ってしまうからだ。
「ふぅ…」
会いたくない。
できれば…
無視されるなら
会いたくない。
私は、キッとブレーキをかけて、自転車を今来た道へと向けた。
そして、ケータイを取り出してタカヤ君に電話をかけた。
『もしもーし』
「あ、タカヤ君?」
『あん?何ー?』
「今日ちょっと具合悪くて…熱があるの。だから、部活休むね」
『…うん。了解。直哉に言っておく。言ってないんだろ?』
俺のせいで。とタカヤ君は申し訳なさそうに言った。
「…からかったこと、気にしてるの?…でもそれが理由じゃないよ。本当に具合わるいだけだから。じゃ!」
『あ…真奈!』
タカヤ君は何かまだ言いたそうだったけど、少し気まずいから、私は聞かずに電話を切った。