屋上で泣くだけ泣いた私は、直哉に送ろうとしていたメールを削除した。



そして、玄関へ行くと、直哉の下駄箱にさっきの手紙を入れた。



頼まれたとはいえ、さすがに会うのは気まずいからだ。




「…帰ろ」



直哉の名前を見ると、また泣きそうになるから、私は靴を履いて駐輪場へと向かった。






鞄から自転車の鍵を出して、カゴに鞄を突っ込んだ。




ハァとため息をつきながら自転車を動かして乗ろうとしたとき



「あ…」



顔を上げた先に




「直哉…」



直哉がいた。



「………」



何も話さない直哉。


直哉も帰るところだったらしく、自転車を取りにきたみたいだった。




気まずい。



「…直哉、帰ったんじゃなかったの?」



気まずい空気を消したくて、いつも通りに話し掛けてみる。




「先生に呼ばれたから」



返ってきたのはそれだけ。



う゛……



「っ!!今から帰るんでしょ!?なら、一緒に……」



「じゃ」



「え……」