「あれがデネブ。で、アルタイル、ベガ」
直哉が指さして夏の大三角形をなぞる。
「ふーん。やっぱりすごいね直哉」
「夏の大三角形なんて中学生で習っただろ?」
「忘れちゃったよー」
あははっと笑うと、直哉は「やっぱりバカだな」と言ってクククッと笑った。
「ねぇ直哉…」
「あー?」
「あのね」
「うん」
「星、綺麗だといつも見せてくれるでしょ?」
「ああ…うん」
「だからねまた…」
「直哉君!!」
“また、星を見に行こうよ”
そう言おうとしたのに。
「エリカ…」
ニコニコして私達二人の間に割り込んできたエリカによって、その言葉は遮られた。
「直哉君!!望遠鏡で星が見たいの!ちょっと来てもらってもいい?」
「おう。わかった。あ、真奈」
がっつりとエリカは直哉の腕に自分の腕を絡めている。
直哉はそれが当たり前のような態度で、立ち止まり私の方へ振り返った。