「今夜星を見に行こう」



夏休みの、いつも通りのある日。



私達天文学部が部室代わりに使わせてもらってる空き教室。



ガヤガヤとみんな話して楽しんでいたのに、急にヤツが立ち上がって言うから、しんとなってしまった。



急に言うから驚いて。




「…な!行こう!今日は晴れてるし天体観測日和だって!ってことで俺は天文台に先行ってるから!!」



ぽかんとしてるみんなにそう告げるとヤツは望遠鏡を担いで教室を出て行った。




「あいつ、外眺めてるだけだけどたまにはいいこと言うんだなー。ま、急すぎるけど!!」



部員のタカヤ君が笑って言うと、みんなも連られてドッと笑った。



またバカにされてる。



みんな知らないんだ。


ヤツ…



直哉が外を眺めているだけじゃないって。




知らないから笑うんだ。