そう、だけど、さ。


アイツの方が、いい。

いいに決まってる。

百花の幸せを願うなら――。



アイツの好きな人なんて全く知らないけど、百花はいい子だから、アイツもすぐに好きになるだろう。


そうすれば、俺はただ、微笑み合う二人を見守ればいいんだ。




「……はぁー……」



なんとか冷静さを取り戻した俺は、冷房を消した。

今の俺には寒すぎる。



心臓が、氷のようで。

妙にギシギシと音をたてる。


これ以上冷えたら、それだけで死んでしまいそうだった。