サワサワ――――ッ


生暖かい風が木の葉を揺らし、
眺めていたフォトアルバムのページをぱらぱらと飛ばす。


ベランダから見える桜並木は
春には鮮やかな桃色の花を咲かすのが
いつの間にか花弁は散り、葉の緑が夏の迎えをさとしていた。



…でも、私にとってそれはただの背景に過ぎない。



風に捲られたページを戻してゆき、
一枚のプロマイドを抜き取る。



「やっぱり、可愛いな・・・。」


(私とは、大違い)



ふわっと柔らかい風が吹き、
あ、と声を出すより先に抜き取った一枚のプロマイドは風に攫われ宙を舞った。