「ん?どうした、莉奈?」
「あの‥先生。」
「ん?」
「教科書忘れちゃいました。」
「なんだ、そんなことか。どうせ昨日も家で勉強してたんだろ?」
え?何で知ってるの?
「いいよ。これ使え!」
先生が渡してきたのは、いつも先生が使っている教科書だった。
「ありがとうございます!」
「いや、大丈夫!」
席に戻ろうとした時‥
「みんな−!ちょっと俺、教科書取ってくんな!」
えっ?
「先生!これいいです!私、隣の人に見せてもらうんで。」
「いいから、それ使え!」
そう言った先生の顔が少し怒っているように見えた。