「?」

 無言で室内に踏み入り、本棚の医療書を手に取った少年にアザムは眉をひそめた。

「……なあ」

「なんだい?」

「医者にはどうやったらなれるんだ?」

「!」

 予想もしていなかった言葉に驚いて少年を見つめる。

「何故?」

「だって……」

 アザムから視線を外し、恥ずかしげに小さく発する。

「ベリルもアザムも、カッコ良かった」

「!」

「オレ、あんな風になりたい!」

「そか……」

 目を輝かせて応えた少年に微笑みを返した。