そうして、以前に顔見知りになったFBIのメイソンに連絡を取り、この件は収束した。

 アザムは走り去る黒塗りのセダンを見つめ、同じように無表情で見やるベリルの横顔に視線を移す。

『殲滅戦』という「プランB」は結局、死者は1人も出なかった訳だけれど……ベリルのいう殲滅戦は

「殺める事を無理に避けて仲間たちに死傷者が出るならばそれを止め、相手に死者が出ても責めはしない」というものなんだろう。

 レイとアザムは後日、事情聴取を受ける事になったがひとまず一同はレイの家に戻った。

「久しぶりに会ったのに、こんなことになるなんてね」

 アザムが肩をすくませた。

「助けてくださってありがとうございます」

 レイがコーヒーカップをリビングテーブルに乗せながら発する。

 そのコーヒーを手にして、ソファに腰掛けているベリルが小さく笑った。