「う……」
レイは手首の痛みに小さく唸り、パイプイスに後ろ手に縛られている事を再確認した。
病院に行く途中、信号待ちをしていたら突然目の前に止まった車のドアが開き、出てきた男たちに拘束されて気がつけば見知らぬ場所にいた。
なんの目的で拉致されたのかは、彼らの風貌でなんとなく察しがつく。
どこか欧米人とは異なる容姿と動きは、否が応でも7年前の事件が記憶に甦る……国から極秘の要請で研究していたバイオ兵器を、テロリストに横流しする事で多額の金を得ようとした。
しかし道具として利用するはずだったアザムを見ているうちに、己のしている事が間違っていると思い直し命を賭けてでも彼を救おうとした。