アザムは助手席に、サムウェルは後部座席に腰を落とす。

 シートベルトを締めて車はゆっくりと動き出した。

「場所は絞れたの?」

「拠点という意味ではまだだ。しかしレイを捕らえてある隠れ家は掴んだ」

「でも……なんで今頃?」

 あれから7年も経ってるのに、と唇を噛む。

「FBIからの逃亡と潜伏にそれだけの時間を要したという事だろう」

「でも……っ なんでこんなこと……」

「彼らにはこういう戦い方しか無いのだ。それが良い訳ではないが、大国に立ち向かうためにはこの方法しか無い」

「!」

 どこか愁いを帯びたベリルの横顔にハッとする。

 彼らは好きでテロリストと呼ばれている訳じゃない。