約束どおり、彼女は教室に残った。

俺も残った。


教室には、俺と彼女の2人だけ。

「あのさ」

先に口を開いたのは俺だった。


彼女が俺のほうを向く。


「2年で初めて同じクラスになったよね」

「うん。」

「俺、その頃一目惚れしてたんだ。」


何も言わず、ひたすら俺を見る彼女。

愛しく思った。

今日でお別れだと思うと、

余計に愛しくなる。


「友達も応援してくれた。俺が一目惚れしたその子と喋るきっかけもくれた。」


あの頃の気持ちを思い出す。

好きだった。

大好きだった。


「でも、その子は俺に好意をもっていないんじゃないかと思ってね、3年生になってからは諦める事に専念したんだ。」


あの頃の俺の気持ちは

ただ苦しいばかりだった。

好きになってしまったから。


「でも、無理だったんだ。」


「うん。」


好き。

大好き。

それしかない。



「今も、好きなんだ。」

「うん。」

「純粋に好きなんだ。」


彼女はとうに気付いている。

自分だって事を。