時間がきて、廊下に並び、
1,2年と親の待つ体育館へ入場した。
しん、とした雰囲気に圧倒されながらも
俺は彼女を目で追った。
相変わらず上品でおしとやかな彼女は
体育館の真ん中に引かれたレッドカーペットを
堂々と歩いた。
それはまるで、これから戦場にいく武士のような
2年生のときの、3年生のときの彼女とは思えない程
格好良く、勇ましかった。
今まで俺が見てきた中で一番綺麗だった。
長い卒業式が終わり、退場を終えて
教室に戻っていった。
中には泣いている女子もいた。
泣く女子を横目に、1人で歩く彼女に俺は言った。
「言いたい事あるから、帰り教室に居てくれない?」
彼女は頷く。
俺は頷いたのを確認すると、悪友のもとへ走った。
このとき彼女がどんな顔をしていたのか
振り返りたい気持ちでいっぱいだった。