しかし、シャイな俺は

彼女に話しかける事もできず、

当然彼女から話しかけてくる事もなく。


遠くで彼女を見ながら

前期は終わっていった。


そんな俺を、悪友は見逃さない。


『お前、あの子の事好きなんだろ?』


なんと鋭い。

俺は嘘が下手だ。

すぐにバレてしまった。


『俺が、喋れるようにしてやるよ』


なんとも頼もしい友だろう。

俺は何度もお礼を言った。


そうして、その悪友のおかげで

俺は彼女と隣の席になる事ができた。


しかし、大人しい彼女は

一言も俺に喋りかけては来ない。


初めのころより、

大分クラスの女子に溶け込んだ彼女は

唯一いる俺の後ろの席の女子にだけ話しかける。


俺が喋りかけない限り、

彼女は喋りかけてこなかった。