『久しぶり。』
久しぶりに聞いた成瀬の声。
何度も頭を駆け巡った。
俺は久しぶりに見た成瀬と
輝く街を出て、川原へ来た。
結局マサは電話をしに行ったきり戻ってこず。
マサはこうなる事を分かっていたのだろうか。
「去年の同窓会、来てた?」
「あ、…うん来てた。一応。」
「私丁度帰国する日だったの。
走って空港から向かったなあ。」
思い出すように星の輝く夜空を見上げた。
「途中から来てたね。」
「うん。しかも殆ど終わりがけで。」
22歳の彼女は、よく喋った。
あの頃とは違って。
「同窓会の日に久しぶりに皆に会って、涙でそうになったの。」
笑顔でそう言う成瀬。
『皆』の中に俺は入っていないだろう。
「ずっと外人の顔しか見てなかったから。」
「そういえば、留学してたんだっけ。」
「うん。本格的にピアノを習いに。」
それでさっきも
あんなに綺麗なピアノを弾いていたのか。