今度は俺が、深いため息をつく。
「6年前の告白を、誰が覚えてんだよ。」
思ったことをそのまま言った俺に
マサはそれ以上、何も言っては来なかった。
「2次会行く人ー!!!」
当時の学級委員が叫ぶ。
「浩隆行く?」
「あー俺めんどくせーからいいや。」
一旦落ち着いた会場を俺は足早に出た。
騒がしかった会場を出れば
外は光の輝く夜の街。
俺はその街を歩いた。
こんな時間だというのに、高校生らしきカップルが
イチャつきながら通り過ぎる。
高校時代、俺は勉強一筋だった。
どのみち、彼女を思い続けていた俺に
恋なんてのは無理なのだが。
俺は本当に彼女一筋だったのだ。
だから、成瀬のいた中学生活は
綺麗な想い出としてとっておきたい。
今更付き合うだの、結婚するだの
無理な話だ。
成瀬も成瀬で、彼氏がいるかもしれないし
告白の事なんて覚えていないだろう。
忘れよう。
あの恋を。
なかった事にしよう。
それが一番いいだろう。
俺は綺麗な想い出を置き去りに、
前を歩いた。