ローブを羽織り、愛しい妻の鼻にキスをすると寝室を出た。



本人は自覚していないようだが、確かに熱がある。



無理をさせてしまったようだ……。



リンが愛しくて、何度でも愛したくて離さなかったのは自分。



精神的にも体力的にも使い果たしていたと言うのに気付かずに可哀想なことをしてしまった。



この4か月、リンは良くやってくれた。



あまりに熱心で側で見ていて心配だった。



それにコウの世話も入り、大変だったに違いない。



乳母を付けたが、まだ言葉を理解しないコウが心配でリンは落ち着いていられないらしい。



そんな事を考えながら城の執事室につながる内線にかける。



皇太子妃殿下の熱は執事室を騒がせてしまったようだ。



すぐに王立大学病院に入院させかねない勢いだ。


アルは他言しないようにと指示を出すと、受話器を置いた。



洗面所へ行くと、タオルを水に湿らせ、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを手にして寝室へ戻った。