♪〜〜♪
ちょうど準備が終わった頃にアタシの携帯が鳴った。
●着信『おやじ』●


おやじからの着信だった。アタシは不思議に思い時計を見つめた。
今の時刻は6時半。
約束の時間まで、あと1時間半もあった。
アタシはとにかく携帯を開き電話に出た。


「もしもぉし?」
『あ、恵ちゃん?ごめんね急に〜恵ちゃん、会うの今からじゃダメかな?』
「へっ?今からぁ?」
『うん〜おじさん、急に恵ちゃんに会いたくなっちゃって♪♪早く会いたいんだよね〜』

都合の良いおやじだ…。
アタシはそう思った。
「ん〜どぉしよっかなぁ〜」
『お願い恵ちゃん!今日は、倍の値段にするからさぁ♪♪』


【倍の値段】
アタシはこの言葉に釣られてしまった。
「ホント!?今から会お〜♪♪じゃあ、7時にこの間のラブホね?☆」

『ありがとう恵ちゃん!じゃあ後でね☆』

―ガチャッ―
おやじはそう言うと電話を切った。


―倍の値段―
いつも5万だから…10万になるわけか…。
10万もあれば祐樹も楽になれるよね…?
今日だけ、今日だけ我慢すればいいんだ。


アタシは心の中で自問自答を繰り返した。
そしてアタシは、不安を抱きながらも、家を出た。