「まず僕たちと接点のある高校二年生は誰か考える。僕の周りには一人しかいない。そう、里穂の兄貴。これで不良に命令したのは里穂の兄貴に推測されるけど、僕は里穂の兄貴に会ったことがない、まして愛花が会ったことがある訳ないからまだ後ろに誰かいると考えられる。」

また一呼吸で間を開ける。

里穂がこっちを睨んでいる。

昔のトラウマが脳に警鐘をならす。

鼓動が早くなり、気分が悪くなる。

「僕たちと接点があってなおかつ、里穂の兄貴ともつながっている奴、あとは簡単だな。」

ニッコリ笑ってみせる僕を鋭い目でガンと睨んでいる。

追いつめていはるのはこっちなのに、追いつめられている気がした。

「さすが、私が好きになった男。すべて正解よ。バカな兄を使って、さらにバカな不良を動かした。祥が割って入ってきたのは予定外だったけど。」

うれしそうに語る里穂の姿に、昔の面影がない。

「なぜこんなことをいした。」

苦しさを我慢して問い詰める。

「ハハハハハハ。だって邪魔だったんだもん。本当はじっくり苦しめるつもりだったんだけど予定を変更して、変態な不良を使って襲われているシーンを写真にとって、それをネタに奴隷にして私の手駒にしてやろうと思ったけど失敗したわね、祥の言う通り頭のいい奴を使うんだった。」

笑いながら話す姿はまともな人間に思えなかった。

「何でそんなことを・・・」

あまりの迫力に声が詰まる。

元々存在感のある人だが、今はいつもの倍ぐらいの存在感と威圧感を放っている。

「理由はいくつかあるけど、一番は復讐かしら。」

(復讐いったい誰に。)

「あなたにに復讐するために・・地獄の思いを与えるために準備したのよ。」

声が一段と大きくなる。

発狂しているかのようだ。

「ぼ、僕に・・」

僕が何をしてしまったのかわからなかった。