「眠てぇなら起こしてやるよ。」

パシィ

手のひらで僕の頬を張る。

明らかに力を抜いているのがわかる。

意識が残るぐらいの力加減で何度も何度も叩く。

まさに拷問だ。

「ゼェゼェ。」

「大丈夫かな少年。謝るならこのくらいにしてやるぜ。」

手を止めて、許しをこうように進めてくる。

しかし、僕は腫れた口を動かして、

「お前等みたいな奴らに下げる頭なんてある訳ねぇだろ。」

この言葉に完全にキレた不良は、僕を投げ飛ばした。

「ふぐっ。」

地面に打ち突けられ、思わず呻き声が出る。

「上等だよこのクソガキ。」

茶髪が腹に蹴りを入る。

坊主が後ろから背中を蹴る。

まるでサッカーのパス練習みたいだ。

さっきとは比べものにならない衝撃が体中を駆ける。

数十の蹴りを喰らい

「げぇっ、ゴホッ。」

ついに吐いてしまう。

茶髪は高笑いしながら、

「ハッハッハ。ついに吐きやがったぜ。そうだ、もう一度チャンスをやろう。土下座したらここでやめてやるけどどうする少年。」

正直、僕は限界だった。

吐いてしまうぐらい苦しくて、意識もうろうとしている状態だった。

でも、

「誰がお前等なんかに。」

謝るつもりはなかった。

なにをされてもこんな奴らのいいなりにはなりたくなかった。

「オッケー、努力賞だ受け取りな。」

「ぐぁっ。」

最後の一発は、つま先の蹴りだった。

さっきまでの足の甲で蹴るものとは貫通力が違う。

ぴくりとも動かなくなった僕に

「今度邪魔したらこれくらいじゃ済まないからよく覚えとけよ。」

そう吐き捨てると、坊主に手で合図を送る。

坊主は、僕のテニスラケットで力一杯僕の頭を殴りつけた。

叫ぶここともできずに、僕は意識を失った。