(助けにきてよ祥)

心の中で、先に帰ってくるはずのない、男の子のを名前を叫ぶ。

ドガっ

「グワッ。」

後ろで体を拘束していた坊主が倒れて、愛花の身体が後ろに倒れる。

倒れた仲間を気にしていた茶髪も誰かの攻撃をもらい倒れる。

「なんで、」

愛花が驚く。

「怪我ないか。」

目の前には来てほしいと願った男の子が立っていた。

「どうして祥がいるの。」

僕は

「傘忘れたから、取りに戻ってきたら、なんか騒がしいから気になって来てみたらやばそうだったから、つい飛び出してきちゃった。」

ハハハ

軽い笑い声を上げて話す僕の姿に安心したのだろう、泣きながら抱きついてきた。

「助けてくれてありがとう。怖かった。」

そんな中不良たちは立ち上がる。

中学生の力じゃ大した威力はない。

「このガキ、許さねぇからな。」

不良どもがキレているのがわかる。

冷静に考えて勝てる見込みはない。

「愛花、僕がおとりになるから逃げろ。」

僕は愛花を守るためにそうせざるをおえないと思った。

「嫌、一緒にいる。」

僕を心配してくれているのだろう。

その気持ちが痛いほど僕に伝わってくる。

しかしここは心を鬼にして、

「ダメだ。お願いだ逃げてくれ、君が大切なんだ。傷つけたくないんだ。」

僕の必死の訴えに渋々納得した愛花はささっと走ってこの場を離れる。