歓声がわいている中、慎也がボールを高らかにあげてサーブを打つ。

長身から放たれるサーブはとても速く重い。

「うわ〜、はや〜。」

「よく追いつけるな。」

「さすが県一番。」

所々からもれる歓声を耳に入れながら、僕はボールを打ち返す。

毎日相手をしている僕にとってはいつもどうりのスピードだ。

パワーのある慎也のストロークも、狙いは片面なので打ち返すのに苦労しない。

(よし、いつもより戦える)。

耐えきれなくなった慎也が勝負を急いで反対の・・・愛花のいる方向に打つが、ボレーで返されあっさり1点を失った。

「クッソー。イラつくテニスしやがって。攻めて来〜い。」

ごちゃごちゃ文句を垂れながら位置につきサーブを打つ。

ゆらゆら、したアンダーサーブ。

この試合では男子が女子にサーブ。

する場合、緩いアンダーサーブ打つことになっている。

慎也は僕たちのテニスと相性が悪く、ズルズルとミスを引きずって僕たちは勝利目前まできた。

しかし始めからそれといって動きのなかったらひろみが動き始める。

「うわっ、っとと。」

いきなりのドロップショットを前につんのめり気味に拾うがそのひろったボールを慎也が打ち込んで決められた。

「おっしゃー、ナイスアシストひろみ。」

「反撃開始です。」

慎也が吠えて、ひろみが微笑みながらつぶやいた。

「うーん、ヤバイかも。」

「ヤバイかも・・・じゃなくてヤバいんだよー。冷静に言うなバカ祥平。」

僕は、愛花怒られた。