長い沈黙、早く結果を訊きたいが、訊けないので俺は言ってくれるのを待つ。

まだ

まだ

かなり長い。
ひろみを見ると考えている風に見える。

そしてついに

「私も最初は嫌いだった。」

俺はジッとひろみを見る。

「私にも小さい頃兄がいた。兄はいい加減な人だったけど泣き虫な私を一生懸命笑わせようとしてくれるいい兄でした。あなたと同じで、家族に重ね合わせていました。」

俺はなんだかうれしくなった。

自分と同じだったことに

「でも、私は慎也と違ってイジメから助けてもらったとき、好きになったりはしなかった。昔兄に守ってもらったことがあったから。」

俺は暗い表情になっていたかもしれない。

「私は慎也が本気かどうかともかく、好きとかそんな気持ちがなかった。」

もう駄目だと思った。

「でも、今日滑り落ちそうになったとき、とってもカッコイイ顔で私を抱えてくれた。そして、抱えてくれたとき、[とてもで温かくて、優しい人なんだ]と、理解した。落ちてからずっと手を握ってもらっているときも胸がドキドキして、この人は兄じゃないと思った。じゃあこのドキドキは何だろうと考えながら慎也を呼びかた、慎也が目を覚ましたとき、何とも思ってなかったはずなのに涙がでた。その時私はわかったのこの人のこと好きなんだと。」

ひろみは更に話を続ける。

「試合で怪我しているのがわかったとき、私は慎也を好きになる資格がないと思って。だから、謝って距離を置こうと思ってた。だから、告白してくれてありがとう。」

そして息を整えて、

「私は村雨慎也が大好きです。」