独特の緊張感が周りを包んでいる。

俺の前にひざをついてまだ沈んだ顔をしている。

「まだ、気にしてんのか。」

はっと驚いて動揺しているのがよくわかる。

「そんなに気にすんなよ。ここまで悪化させたのは俺なんだし。」

しばらくの沈黙が過ぎる。

「ごめんなさい。」

話しかけようか迷っていると、ひろみの方が先に口を開いた。

「いや、別に謝ることじゃ・・」

「駄目だよ。ちゃんと聞いてほしいの。もう一度言うからちゃんと聞いてね。」

俺はその言葉を聞くことも言わせる事も嫌だった。

でもひろみの言葉に素直に従ってしまった。

「ごめんなさい。」

その言葉を言ったひろみが

聞いた俺が

目から頬に涙を伝わせる。

俺は告白とはどのタイミングで言うべきかどうかを考えていた。

そして、結論を出してもいないのに口が勝手に回り始めた。

「謝らなくていいよ。だってこれは本当に大切な好きな人を守るためについた傷なんだから。」

急すぎて、言葉の意味を理解することに時間がかかったのだろう。

しばしの間が間に入る。

「どうして。」

ひろみが話し出す。

「どうして私を責めないの。どうして怒ったりしないの。どうして笑っていられるの。」

それは今まで聞いた中でも一番の声量があっただろう。

もはや悲鳴に近いものだった。