空をボーっと眺めて祥が来るのを待っていた。

山道入口を眺めていると人影が現れた。

走って近づいてくるのは、祥だ。

「おい大丈夫か。」

手には頼んでおいた、テーピングとコールドスプレーを持っている。

「事情は何となく聞いた。で、どこを怪我したんだ。」

祥は焦って訊いてくる。

心配したのだろう。

なんだか悪いことしたと思いながら答える

「左足首と、右肩。」

それを聞いた祥はすぐさま俺の靴を脱がせ具合を見る。

「結構腫れてるな。」

表情を曇らせる祥の顔を見るのが辛い。

すると険悪な表情で祥がこちらを向いて訊く。

「慎也、試合はどうするんだ。ここで応急処置してテーピングで固めれば、痛いだろうが少しぐらいなら動けると思う。」

「もちろん出るつもりだよ。そうしないと、ひろみは自分を責めるだろうからな。」

そう告げると祥は笑い出した。

「くぷぷ、やっぱりそう言うと思った。さすが熱血マン。」

なんだかバカにされたような響きだ。

そして急に真面目な顔をして、

「でも、肩を怪我してほとんど打てない状況だけでも勝つことは難しい。ましてや相手は県大会を突破してきた奴らだ。絶対に勝てない試合になるけどいいのか。」

祥は俺に現実を突き詰めてもう一度訊いた。

「当たり前だ。俺が出ることに意味があるんだからな。」

はっきりと祥に告げる、

「分かった。最後まで付き合ってやるよ。じゃあ治療するから、大人しくしてろよ。少しでも良くしないと最後まで立っていられないかもしれないから。」

そう言って祥はコールドスプレーを患部に掛けテーピングでぐるぐる巻きにした。

俺たちは、治療を済ませてゆっくりと足に負担がかからないように会場に向かった。

雲がきえ太陽の光が降り注ぐ。

まるで俺の背中を押すように、後ろから差し込んでいた。