*ここから少しの間は、慎也目線になります。


やっと二人になれたぜ。

最近は4人出いることが多かったからな。

今日このチャンスに、ちゃんとポイント稼いでおかないとな。

祥にも話してないけど、この大会が終わったら告白するつもりだからな。

「山道、歩いたこあるのか。」

まずは話さないと何も始まらない。

そう思った俺はとりあえず訊いてみる。

「一度だけ登ったことがあります。」

相変わらずの口調、冷たいように聞こえるかもしれない、でも、自分の意見を持った明確な答え。

短いながらも相手を思いやる心。

ひろみは本当は優しいような気がする。

俺は二人になれたことに少し浮かれてあるいているだろう。

「あっ、水仙。」

ひろみの清らかな声が耳を突き抜ける。

「どれ。」

ひろみは指を指しながら説明する。

「あの斜面にある白い花が水仙よ。ヒガンバナ科の多年草で花びらは六枚で地中海地方が原産の花。」

あまりの詳しさに度肝を抜かれる。

「なんでそんなこと知ってんだよ。」

「昔、小学生の頃、いろんな花を庭で育てていて、そのとき覚えたの。」

「へぇ、物知りだな。じゃあこの枝に咲いてる花は。」

興味本位で近くに咲いていた初めて見る花を指差す。

「それはサクラタデ。タデ科の多年草で、日本産のタデの中では最大。」

「うへー、よく知ってんな。」

それからも近くにある花を説明してくれた。

俺は驚きながらも、少しうれしく思っていた。

ひろみが自分から話してくれていることがなんだか嬉しかった。

普段は訊かないと話さないし、クールな表情をしているけれど。

今の彼女の笑顔は、みた目通りの小さい女の子のようにとても可愛く笑っていた。

その笑顔に後押しされてか、俺は

(大会の後絶対告白しよう。)

と決心を決めた。