｢なんで僕が出なきゃならないんだ。｣

教室のいすに座りぶつぶつ言う僕を説得するように慎也が話を続ける。

｢まぁ決まっちゃたもんはしょうがないし女子と協力して一位を目指そうぜ。｣

その言葉に動揺した僕は声を震わせる。

｢女子ってまさか・・・｣

嫌がる僕の顔を見て慎也が後ろを指差す。

｢私たちと一緒は嫌かしら祥くん。｣

強気な声を発しながら僕のかたを掴んだのは福井 愛花(ふくい あいか)だ。

身長が高くて細身で髪が肩まである大人しくしていれば、かわいいが似合う女の子だ。

自分にはない強気な姿勢を持っていて、それを崩さずに貫いている姿がかっこいい。

去年に知りあって初めは色々あったが、今では一番仲の良い女の子だ。

｢かんばりましょう。｣

静かな声が響くその声の持ち主は愛花の後ろから出てきたもう一人のリレーメンバーの福島 ひろみ(ふくしま ひろみ)だ。

彼女は小柄で静か(暗い？)で上品でお嬢様のオーラがある。

特に目に付くのは、なんといっても白い肌である。

ショートカットがゆれチラッと見える首筋が美しい。

男子からの人気が高く、去年の男子だけの秘密アンケートで一番をとっている。

｢おはよう、ひろみ。今日もかわいいな〜｣

慎也はひろみが好きだ。

いつもこんなことばかり言っている。

黙っていると永遠に[かわいい]だの[好き]だの言い続けるので、僕は話を戻した。

｢イヤじゃないけど、いつチームができたんだよ｣

僕のから発言に間髪いれずに愛花が答えた。

｢だってこの、男女テニス部。部長・副部長班は、みんな足が速いからね。勝手に決まってたみたいだよ｣

愛花がキャラに合わない語尾をつけて可愛く見せたことが気に障った。