ウーン

マイクの独特の音が鳴っている。

慎也が相談するわけでもなく即OKを出しだので、僕は行きたくなかったのだがつれてこられたような形でここにいる。

そもそも僕がなぜ行きたくなかったかと言うと、僕は音楽にたいして毛ほどの興味もない。

何度か他の人たちが話をしているのを聞いていても全くわからないし知ろうとすることでもないと思ってたしまさかカラオケに連れて行かれるとは、考えたこともないことだ。

そんな僕を後目にして三人は、本を見ながら歌う曲を入力していく。

ピッピッピッ

入力音を聞く度に心がしずんて曇っていく。

「祥。お前、来たはいいけど、どうするつもりだ。」

ひそひそと慎也が声を掛けてくる。

「バカやろ。何にもできないの知ってて聞いてくんじゃねーよ。」

慎也は俺が歌に興味がないことを知っている。

「帰っていいか。」

「ダメ、一人で残るなんて絶対いやだからな。」

頑なに拒否にする慎也となんとしても帰りたい僕が言い合っていることに気ずいた二人が訊いてくる。

「どうしたの。」

「いやなんでもない。」

そう答えながらも動揺は隠しきれなかったようで、

「怪しい、なんか隠してる。」

「うぅぅ」

「ちゃんと話さないと、明日学校で『あたしたちをいじめた』って言いふらしてやるから。」

100中90人がばからしいと思う行動も昔本当に言いふらして、学校中から非難の目を浴びせられたことがある。

この二人はかなり可愛いから味方が多い。

それ以来なんかある度にこの言葉で言うことを聞かされているのだ。

「ウーン、しょうがないな。」

僕は降伏した。