コーナーが終わり直線の真ん中あたりで僕はわずか差を作った。

たった頭一つ分の差、僕はこの差を守りきってゴールテープを切ったその瞬間今まで聞こえていなかった歓声が聞こる。

緊張の糸が切れ、しゃがみこんだ僕の目の前には慎也、愛花、ひろみの三人が立っていた。

「これもすべて俺様のおかげだな。」

そう言いながらも讃えているかのように僕の頭を叩いてくる。

「本当によかった。もし負けたら私のせいになると思ってたし。」

そう言って肩に手をおいて、耳元で一言。

「かっこよかったよ。」

その言葉に驚き、振り向くと恥ずかしそうに顔をほんのり染め微笑んだ顔を反対の方向に向けて少し離れた。

「ん、顔、赤くないか。」

愛花が[ひゃ]と声をあげる。

その声を聞いて慎也とひろみが愛花をちゃかし始める。

「あら、思い切って告白でもしましたか。」

「ちょっと、そんなことする訳ないじゃない。」

愛花の否定を無視して、更にちゃかす。

「またまた〜、謙遜しちゃって。」

いい加減我慢できなくなった愛花が慎也蹴る。

「ぐうぁ」

うめき声を上げながら慎也の体は崩れ落ちる。

僕とひろみはその様を見て笑っていた。

運動会は閉幕した。