アナウンスが現在の状況を説明している、出場しない生徒は声を張り上げて応援する。

ひろみは現在3位。

6クラス中3位だ。

なかなか順位だ。

「俺が逆転してやるよ。」

次は慎也の番、位置につきじっとひろみを見つめている。

「頼んだぞ。」

ひろみが近ずいてくる。

タイミングを読みながら慎也が走りだす。

バトンを受け取りどんどん加速する。

しかしなかなか差は詰まらない。

なぜなら2番手はどのクラスも一番速い人を出してくるエース区間なのだ。

しかしさすがは慎也、最終コーナーを曲がる時には、一位に追いついて、バトンを渡す時には体一つ分ぐらい前にでていた。

「頼んだぞ。」

「うん、任せて。」

慎也の呼びかけに愛花が答えてバトンを受け取る。

三番手は愛花は長身を生かした大股の跳躍てどんどん進んでいくが、相手は陸上部。

少しずつだが間が狭くなってきている。

「ハァーハァー。最後は、ハァー。頼むぜ。」

「よろしくね。」

慎也とひろみの期待、そして愛花のがんばりを胸に止めて位置につく。

愛花が直線に入って見えたときには、二位と並んでいた。

あれだけ練習して、うまくなったバトンワークにも何ともいえない緊張が走る。

愛花が近ずいてくる。

僕は走りだす。

心臓が飛び上がるほど脈打つ。

緊張の瞬間。

僕は手を出してバトンを受け取った。