彼女はだいぶ楽になったらしく、顔色が少しましになっていた。

といってもこれだけ暑いから当たり前かと思いながらあることに気付いた。

「やばっ! スカートがヒラヒラしてる…。」

こういう時は男はわからないものである。

急いで自分のカッターシャツを脱ぎ、彼女のスカートがヒラヒラしないようにかけておいた。


「ありがとう…仁志君って優しいんだね…。」

生まれて初めて言われた。

しかもこんな場面に出くわさないし、自分がこんなに出来た事に関心した。

「いやいや…それよりましになった?」

彼女は口だけを動かし、

「だいぶましになったよ…ありがとう。 あのままだったら死んでたかも。」

「冗談やめてくれよ。 まるで命の恩人みたいじゃん…」

「亜季葉にとっては充分命の恩人だったよ」
自分は顔を赤らめ、また気付かれてないか心配したが、この暑さが消してくれそうだった。