数が減っていっても、
憂の胸騒ぎは収まらない。
全員を殴り終わると、息を切らして
地面にゆっくり座り込んだ。
「うああああ!」
心の叫びが声に表れた。
呉羽では、とある人物が
3年1組の窓に座っていた。
その女性は、髪をかきあげる。
―利津だった。
「よっ…と」
窓から下りて、教室から出ようと
扉の近くに行く。かきあげた髪から
手をはなし寂しげな顔をした。
扉を開ける。
その先には奈央がいた。
「…どこ行くんですか」
「トイレだよ。あ、昼飯も買いに行くからここの留守…」
「利津さん!」
ギュッ
奈央が利津を抱き締めた。
「あなたは一人じゃない」
奈央は利津を救いたかった。
いつも孤独感を出している利津を
放っておけなかった。
「……お前」
「決着つけるつもりでしょう」
「悪い、寧々が邪魔なんだ」
「ナジカとですよね?」
利津が固まった。
「寧々を倒すことを、あなたがする筈ありません。だって直さんがそれを託したのはあたしだから…それに、ナジカには借りがあるでしょう?」
「…だったら何だよ!」
利津は奈央をなぎ払った。